大島道場 連載第1回「人を育てる」

~「成功体験」が大事なのです~

 人というのは、歩けない赤ちゃんでも歩きたいという願望があるように、本来「成長願望」があり、常に上を見ながら目標設定します。でも、その目標が明確かどうかが大事なんです。

 例えば、月に1,000万円の売上目標を立てた時に、スタッフにはその日の目標を立てさせます。その日の売上目標を100万円とすると、スタッフは「今日1日で!?」と思います。そこで一旦は「難しいかな…。」と同情し、その後で「でもやっている人が世の中にいる。だからできない事はない!」と励まします。そしてまずはプランを作らせます。今日来るお客様が1人だったとしたら、1人に100万円売らなければなりません。そしてそのメニューをプレゼンする為のトークを考えさせます。そのトークを実際やってみますが簡単には出来ません。でも、最初はそれでいいのです。チャレンジしたことが素晴らしいのです。

 そして次の日2人の来店予約があったとします。2人来店があるからといって昨日失敗している為、1人に50万円ずつではダメです。2人に100万円を売るように接客させます。やってみると、また上手くいきません。でも2日間で3回もやっているわけですから、経験が大事なんだと経営者は悠然と構えます。

 そして3日目。3日目は3人の予約があったとします。3日目も3人に100万円ずつ売るつもりで接客させます。そうすると、たまに1人くらい契約してくれる人が出てきます。その時に皆がとても喜びます。これが成功体験です。これを毎日続けていくだけです。成功体験をした時は本人が一番嬉しいはずで、それを褒めてあげるとまた次やろうとします。それは自然の流れなのです。そうやって人は育っていきます。要は出来たことを喜び、出来なかったことは絶対に怒らず経験と捉えます。出来なかったことも経験ですから、出来たことと一緒なのです。

 そうすると人は自ら目標に向かい行動を始めます。実際に、うちのサロンは200名位のスタッフがおりますが、店長クラス以外のスタッフには月1回程度しか会いません。それでもちゃんと動いています。それは成功体験がある為です。

 成功体験を経て、それを褒め、また次の目標設定ができていれば人は自ら行動します。そうすると必ず成長する。人はあまり教えたらダメなんですね。なぜ教えてはダメかというと、教えるというのはその人を否定しているのと同じ事なのです。「あなたのやっている事は間違っているから、こうやりなさい。」というのが教えです。それが否定になるのです。だから私は教えずにヒントだけを出すのです。

Profile
株式会社エストラボ 会長
大島 正人

略歴◎フレンチシェフ、大手下着メーカーを経て化粧品や美容商品の企画・製造・販売からOEM製品、サロン経営まで幅広く展開。直営サロンの経営から美容業界のノウハウを習得し、わずか数年で規模を拡大。事業に垣根を設けずに展開するビジネスセンスは、異業種からも注目されている。2014年よりエストラボグループの会長に就任。